経済用語から見る日本経済、バブル編
日本において、少しでも景気が上向くことを、過度に恐れる方がいます。
『バブル』の定義がよくわかっていない為に、好景気と混同してしまっているのだと思われます。
健全な経済成長に必要な好景気は、果たしてバブルと同じなのか、見ていきましょう。
一般的なバブル経済のイメージはどんな感じでしょうか。
なんとなく不自然に不動産価格や株価が上がる、ぐらいかもしれません。
不動産価格や株価の上昇がどういった状況下であればバブルなのか、について押さえていないと正常な経済成長についても怯えて過ごさなくてはならなくなってしまいます。
現実において、バブルの状態では不動産価格や株価は、民間の借金による投機によって値上がりします。
この投機、という言葉もよくわからないかもしれません。
投資、と似ていますが、どう違うのでしょう。
投機とは、将来の価格上昇を見込んで行う転売行為です。
明日200円になると確信しているリンゴを、今日100円の内に買っておき、明日になったら転売して100円の差額を得ようという行為ですね。
見てわかるように商品そのものに対して所有しようという意思はなく、売買差額を得る為の道具として使っているに過ぎません。
対して投資はどうでしょう。
投資とは、将来の資本を増加させる為に現在のリソースを投入する行為です。
企業が商品をたくさん作るために設備投資したり、社会人の方が自分への投資として英会話スクールに通ったりするように、将来のメリットのために現在で支払う行為というわけです。
当然、購入した商品そのものに目的があります。
投機と投資の意味合いが大分違うことがわかりますね。
では先ほど、みんなが借金して投機をするからバブルになる、と書きました。
そうではない場合、つまり健全に不動産価格や株価が上がる状態はどういうものでしょうか。
日本の多くの企業で収益が改善し、従業員の方々も年々給与が上昇しているとしましょう。
生活状態が次第に裕福になり、その結果、不動産や株価を購入するにあたり、自分の所得の中から費用を捻出している状態です。
日本中で好景気ならば確かに多くの方が買い求めるでしょうから、不動産価格も株価も上向くことでしょう。
ですが、これはバブルではないのです。
購入にあたって、所得という上限がある為です。
これが、借金を元手にした投機だった場合。
まずお金を借り、商品を購入します。
値上がりしてから転売し、差額で借金を返す、もしくはその信用に上乗せしてさらに借金から投機を繰り返す。
これはバブルです。
この通り、上限無く売り買いが進んでしまうため、不動産価格や株価が際限なく上昇します。
もちろん、いつかは信用とともにバブルも崩壊するわけですが、その時がいつになるか誰にもわかりません。
ここまで見てきたように、バブル経済と、正常な好景気は似て非なるものであります。
経済が好調になったから、あるいは地価や株価が上昇局面にあるからといって、全てがバブルではないのです。
好景気まで否定してしまうと、豊かさも将来の安全も捨てることになってしまいます。
好景気そのものはまったく怖くありません。
安心して、豊かになりましょう。