経済用語から見る日本経済、バラマキ編

 

 

ニュースやワイドショーなどで良く耳にする経済用語(?)としては『バラマキ』という言葉が挙げられるのではないでしょうか。

使い勝手がいいのか、政策を中傷する際に頻出します。

 

 

 

 

バラマキ、と聞くとイメージも湧きやすく、政策の中身を理解しないままでもなんとなく悪印象を植え付けられます。

では、実際にはバラマキに該当する政策はどういったものになるのでしょう。

逆に、バラマキと言われたものの本当は真っ当な経済政策であるものもあるのか、見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

政府のお金の使い方は大雑把に分類して2種類しかありません。

 

  • 政府最終消費支出と公的固定資本形成
  • 所得移転

 

以上です。

 

 

 

一つ目の政府最終消費支出、そして公的固定資本形成は昨日の記事内で軽く触れた項目です。

どちらも支出面のGDPに載っているものになります。

 

 

 

政府最終消費支出は、公務員給与の支払いや、国民の医療費の政府負担分の支払いなどです。

公的固定資本形成は、道路・港・ダム・学校などを作る、いわゆる公共投資です。

 

 

 

昨日の記事で、デフレ不況下では民間の支出などが減るので、国全体としての支出を維持・増加するために政府の支出を増やす経済政策は是であるとしました。

つまり、デフレ不況下では上記政策は経済活性化政策としては肯定されます。

 

 

 

これらが無分別に『バラマキ』であると解されていることはないでしょうか。

 

 

 

仮に、国民に全く寄与しない形で道路やダムが作られ、誰も存在しない地域に公務員を増員し給与を増額したとしても、仕事として存在した以上はGDPが増えます。

これは、デフレ不況を改善する圧力を持つ事になります。

もちろん、実際には国民に何ら寄与しない政策など実施されることはありません。

 

 

 

つまり、政府最終消費支出や公的固定資本形成はバラマキではないのです。

 

 

 

 

 

ではもう一方はどうでしょうか。

所得移転系の経済政策です。

 

 

 

所得移転は、年金や生活保護費、あとは子ども手当などです。

こちらはGDPにはなりません

支給しただけでは誰も付加価値を生産していないためです。

 

 

 

振り込まれたお金が実際に使用されるかどうかは誰にもわからず、経済政策としては非常に中途半端です。

貯金しておいていつ使うかわからない、ということもありえるからです。

 

 

 

お金が使われないからデフレ不況であるにも関わらず、そこへお金を渡して、使われるかどうか運に任せているわけですね。

 

 

 

GDPとしても、この所得移転分を政府支出として支出面のGDPに入れてしまうと、生産面や分配面と釣り合わなくなってしまうのです。

これではGDP三面等価の原則が崩壊してしまいます。

 

 

 

つまり、単なる経済政策としてだけ見れば、GDPを押し上げる効果を持たない所得移転政策はバラマキに該当する可能性があります。

 

 

 

しかし、社会保障を経済政策の面からだけ見るというのは不適当です。

ここをバラマキと断じて、切り捨ててしまっては国が成り立ちません。

 

 

 

逆に、ベーシックインカムは所得移転政策の極地にあたります。

これは、なぜかあまりバラマキと指摘されていないように思います。

 

 

 

所得移転政策の中で少しマシなものとしてはエコカー減税があります。

エコカー減税そのものは所得移転ですが、必ず実際の消費に連動するので、運任せの政策よりは実効性があるためです。

 

 

 

 

 

見てきたように、現在日本では、バラマキでないのにバラマキと呼ばれている政策と、バラマキであるにも関わらずバラマキと指摘されずに実行される政策が混在しています。

政府がお金を使うことの全てがバラマキなのではない、ということだけでも知って頂ければ幸いです。